だまし絵の歴史は古く、古代ローマ文明で既に描かれていたという説があります。庭園や部屋を飾り付けるための装飾画として用いられていたようです。
遠近法などの絵画の技法が発展するルネサンス期に大きな発展を遂げました。
ルネサンスによる技法の完成
建築家ブルネレスキが数学的に遠近法の基礎を実証し、イタリアの画家達が使用し始めました。
万能人と呼ばれるレオナルド・ダ・ヴィンチが”空気遠近法”と呼ばれるぼかし技法などを加えることで完成していきます。
「トロンプルイユ」の流行
フランス語で「目をだます」という意味を持つ言葉で、窓や扉、戸棚、壁龕を装ったり、彫像や円柱などリアルに描き出すことがヨーロッパで流行しました。
現代では美術品としての価値も高く、美術館で展示会が開かれたり、フランスやカナダの街角で壁画として楽しまれています。
日本におけるだまし絵
近頃人気が高い歌川国芳はユーモアに溢れる寄せ絵などを浮世絵で描き、江戸庶民の人気を集めました。
絵画を気軽に楽しむ文化は日本では江戸時代から続いているようですね。
剣重和宗の挑戦
40歳にして銀行員を脱サラし、画家に転身した和宗は、シャッターや壁に空間を描く空間デザイナーとして、ペンキを使って描くことを選びました。
たった5色のペンキと筆を持って街中にキャンバスを求めて活動を始めました。
『トリックアート』 - 参加型アートの創造のきっかけ
新潟の柏崎にある巨大なコンクリートの山肌に、変化する太陽の絵を描くことを決めた和宗は、実物大の人々を書き始めました。
制作中「絵が動く」との声があがり話題に!和宗が絵画の中に人が入ることで不思議な体験が生まれることに気付いた瞬間でした。これをきっかけに参加型アート『トリックアート』が誕生し進化を始めていきました。
「トリックアート美術館」の誕生
「身近に楽しんで頂く美術館をつくり、多くの人に驚きと感動を与える」ことを実現するために、1991年『JAIB美術館』が誕生し、翌年『トリックアートの館』も完成しました。
参加型アートは進化を遂げ、観て、さわって、写真を撮って遊ぶ美術館として、新しい絵画の楽しみ方を生み出しました。
『トリックアート』の進化
初めは名画や彫刻をモチーフにしていたトリックアートですが、独自のアイデアで様々な世界観を生み出していきます。また、錯覚を使った仕掛け(トリック)を組込み、不思議で楽しい作品が誕生します。日本で生まれたトリックアートはこれからも進化し続けることでしょう。